ヴ(ォイ)ログ

音楽、機材、サカナクションの話

機材の話:サカナクション岩寺基晴の使用エフェクターを考える

 こんにちは。また書きたいネタができたので書いてみます。

 このブログでもTwitterでも事あるごとに言ってますが、僕は大のサカナクションファンであります。エフェクターを買い集めているのも、サカナクション(とレディオヘッド)のコピーをしたいからだと言ってもいいです。

 あんな人気バンドにも関わらず個々のプレイヤーのフォロワーが他のバンドほど一般に見当たらないなあ、と感じていまして(ベースの草刈さんのプレイの評価は非常に高いですが)。「誰々の機材情報!」みたいなサイトも羅列してるだけでどう使っているのか説明しているところはほとんどないですし、1番熱心に追いかけてきたギターのモッチこと岩寺基晴氏の使ってきたエフェクターについてできる範囲で詳しく書いてみようとぼくは思いました(作文)。

ということで、僕が確認してきた範囲で使用していたエフェクターを役割ごとに挙げていきます。リアルタイムで追い始めたのは2012年からですし、初期に関しては資料も少なくほとんど言及できていないことを先にお詫びしておきます。

 

今回のお品書き

 ①歪み系

 ・TS系枠

 ・ケンタ系枠

 ・ハイゲイン枠

ダイナミクス系/アンプ

モジュレーション/ピッチ系

④空間系

⑤システムの全体像

⑥自分がコピーする際のシステム

⑦おまけ

 

①歪み

 基本的にアンプはクリーン、歪みはペダルで作っています。歪みに関しては大きく3つの枠に分けられます。

《TS系枠》

T-REX ALBERTA

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・Fulltone Full-Drive2 MOSFET

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 初の武道館公演まではALBERTAを、その後のAL「DocumentaLy」レコーディング以来現在に至るまでFull-Drive2を使用しています。(2014年のSAKANATRIBEツアーでは10周年記念の赤いモデルを使用していることを確認しています)Full-Driveのゲインは比較的高めで、ALBERTAの設定は確認できませんでしたがオンにした時の音を聴く限りFull-Driveと同程度には上げていそうです。岩寺氏のドライブサウンドの基本形と言える形です。

《ケンタ系枠》

・MAXON OD-820

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・KLON KTR

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 初武道館の際にはOD-820がボードに設置されています(OD-820がケンタ系かどうかは分かれるところですがご容赦ください)。その後DocumentaLy期以降しばらくボードには姿を見せなくなりますが、少なくとも2018年のベストアルバムツアーまでにはKTRが、そして2019年のAL「834.194」ツアーではその両方が使用されています。TS枠に比べれば踏んでいる頻度は低い印象ですが、復活したことを踏まえるとボードから外れていた時期もレコーディングでは使われていたと考えるのが自然ではないでしょうか。こちらも比較的ゲインは高めの設定です。

《ハイゲイン枠》

・BOSS DS-1 WEED Mod Double SW

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・BOSS BD-2

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・ROGER MAYER Page 1 Classic

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 DoucumentaLy期にケンタ系に取って代わるように登場し、少なくともSakanaction期まではWeed DS-1が使用されていました。SAKANATRIBEツアーではBD-2が使用され、その後移行した時期は定かではありませんが少なくともベストツアーの際にはPageに変わっています。DS-1は僕も実際に手に入れて使っていますが、これ1つでもかなり近い雰囲気が出ると思います。少しトレブルの立ったドライブサウンドにハマりますね。

 

 岩寺氏の歪みの音作りにおいて、次項の内容も重要な要素となってきますのでぜひ合わせてご覧ください。

 

ダイナミクス系/アンプ

ダイナミクス系》

・BOSS GE-10

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・Free The Tone PA-1QG

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・BOSS CS-3

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・CAE GVGA-2 Rev.3

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・Ernie Ball VP

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KORG XVP-10

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 ラックシステムを導入した2012年以降常にGE-10をシステムに組み込んでいます。ほんの少しローをカットし、2~4k辺りにピークを作りつつそれ以上のハイは割とハッキリカットしているようです。また、AL「kikUUiki」の表参道26時は岩寺氏がGE-10でギターの音をバキバキに作り込んできたことがきっかけで雰囲気が固まったという話や、834.194の際のエンジニア・浦本さんのインタビューで「モッチの音作りがバッチリだったので、ミックスでEQをかけないことがほとんどでした」との発言もあるようにレコーディングでも重宝しているようです。ベストツアー前後の時期からFTTのEQも加わっています。

 コンプに関しては、2014年頃からCS-3を導入しています。それ以前にも、BOSSのマルチGT-10でコンプを使用していることを確認しています。

 そして彼の音作りの大きなポイントがGVGA-2です。ラック式のボリュームコントローラーでシステムを大きく括るように配線されており、ギターからの信号とエフェクターを通過した後の信号を個別にコントロールできます。クリーンで音量をガッツリ出したい時にアウトをブーストしたり、歪みペダルに送るギターからの信号を下げることで歪みの量を抑えたりと、フレーズ単位でパッチを組んで使っているようです。歪みペダルのゲインが総じて高めのセッティングなのはここと大きく関係していると思われます。ですから、ボードの写真が掲載されてもただツマミの位置を真似るだけではなかなか音がハマらないかもしれません。

《アンプ》

 三日月サンセットのMVや初期のライブにおいてはJCを使用しています。その後DocumentaLyツアーまではVOXのAC30を使用していましたが、ラックシステムの導入と同時にアンプも一新。ディーゼルのヘッド+オレンジのキャビネットの組み合わせに移行します。ディーゼルは基本的にクリーンチャンネルを使用し、ペダルで得られる以上の激しい歪みが欲しいときだけドライブチャンネルと合わせていたそうです。10周年ツアーの頃までそのシステムが続いていましたが、2018年頃からAC30に回帰し、現在に至るまで使用しています。AC30で歪ませることがあるのかは不明です。

《2020 10/13追記》

 ⑤でも少し触れていますが、おそらくAC30に回帰した頃からDV MarkのMultiampを使用しているようです。ケンパーやフラクタルのような、様々なアンプのサウンドを実現する機材ですね。ファミコンに似たカラーリングがモッチの気を惹いたのかな、なんて想像もしてしまいますが。笑

 どの程度Mutiampを使っているのかはなんとも分からないのですが、AC30をスピーカー部のみ使っているとするならば「オレンジの方がレンジも広くてフラットな音になるのでは?」という疑問が立ち上がってきます(ディーゼル+オレンジに移行した際に「AC30だとパキッとしすぎてしまうのでレンジも広く暖かいクリーンを求めて変えた、むしろ出過ぎてしまって戸惑ったくらい」「だけど出ているところは抑えればいいだけなので楽になりました」との発言もありますし)。これに答えを出すのはなかなか難しいですが、私の仮説は

・Multiampで様々な音を作れるようになった反面一貫性が欠けてしまい、AC30のキャビネットと合わせることで音に一貫したキャラクターを与えて”同じ人の音だ”という印象を担保した

・やっぱりコンボアンプの音が好みだった(AC30への不満はプリアンプ部に関してのものだった)

・ギターのレンジは狭くても構わないと思った

などです。いつかどこかの記事に解説が載ることを願っています。

 

モジュレーション/ピッチ系

モジュレーション》

・Electro Harmonix Small Clone

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Moog Moogerfooger MF-103 12 Stage Phaser

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・Strymon Mobius

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・Eventide H9

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 長らく(sakanaction期まで)Small CloneとMF-103を使用していました。スモールクローンは古臭さを演出したい場面で使っており、MF-103はコード弾きだけでなくクリーンの単音フレーズ(三日月サンセットなど)でも使われ、モッチサウンドの雰囲気を演出する重要な要素です。6ステージのモードで使用しているようです。SAKANATRIBE期にストライモンを導入し、いつ頃からか定かではありませんがH9に移行しています。H9はマルチなので他の役割も持っているかもしれませんが、メビウスとの交代ですから主にモジュレーション用と見ていいでしょう。

《ピッチ系》

・BOSS PS-5

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・Electro Harmonix Pitch Fork

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 初期においてはPS-5を使っていましたが、GT-10を導入したタイミング(2008年以降)でボードから外れたためGT-10でピッチシフターも管理していたと考えられます。現在はピッチフォークを3台使い分けており、①オクターブ下を重ねる②オクターブ上を重ねる③オクターブ上を重ねる(ウェット大きめ)の用途で使っているようです。アルペジオなどで多用されており、ワーミーよりも揺らぎの少ないピッチシフトが得られるこの2機種は岩寺サウンドの肝と言えます。

 【2020 5/4 追記】

 すっかり失念していました。ライトダンスでは+5半音のモードも使用しています。サビ裏のギター、オリエンタルなムードがムンムンの名フレーズですよね…

 

④空間系

・BOSS DD-20

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・BOSS GT-10

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・TC Electronic D-Two

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・Strymon Time Line

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・TC Electronic M-One XL

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・Strymon Big Sky

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 ディレイはサカナクションのギターサウンドの大きな特徴です。僕はジ・エッジではなく岩寺基晴から付点8分のディレイを学びました…。GT-10でディレイタイムを曲ごとにプリセットしており、1曲で3種類使うこともあるそうです。また岩寺氏の特徴としてBOSSのディレイのWARP機能を多用することが上げられますが(ルーキーの間奏など)、Time Line導入後はエクスプレッションペダルでフィードバックをコントロールすることで同じ効果を表現しているようです。D-Twoはラック導入と同時に組み込まれましたが、「現在活用法を試行錯誤中」とのコメントがあった後目立った活用法を見出せなかったようで現在は使われていません。

 バーブはラックシステムを導入するまで入っていなかったのですが、おそらくこれもGT-10でまかなっていたと考えられます。ラックシステムではBig Sky導入以前はラックマルチ、M-Oneでリバーブサウンドを作っていたとのことです。

《2020 10/13追記》

・BOSS RE-20

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 他の方の昔のブログに記載がありましたし、そういえばDocumentaLyの特典DVDでの「ドキュメント」のスタジオライブ映像でも使っていたのをすっかり忘れていました…そのブログは2009年のライブにて恐らくRE-20をリバーブとして使っているのではないか、と書いていらっしゃいます。いくつか間違いもありますが、私の手の届かなかった時期についての記事ですので、大変ありがたいです。下がそのリンクですので、是非合わせてご覧ください。

補足説明、及び蛇足記 : サカナクションのギターエフェクトサウンド

 

⑤システムの全体像

 大きく分けて①ペダルボード+AC30期②ラックシステム+ディーゼルヘッド+オレンジキャビ期③ラックシステム+AC30期に分けられます。ラックではFractalのAxe用フットコントローラー、MFC-101を応用してエフェクトの接続やパッチ切り替え、エクスプレッションペダルの適用先などを管理しているとのことです。「歪み→モジュレーション→ピッチ系→空間系」の順番は①期から不変だと思われますが、EQやコンプなどの位置についてはハッキリしません…また近年はDV MARKのMultiampも使用しているようで、単にAC30に回帰!とも言えないかもしれません。

《2020 5/9追記》

②期と③期の間(おそらく2016〜2017年頃)にディーゼルヘッド+オレンジではないキャビネットの組み合わせで演奏しているのを確認しました。パッと見てメーカーが分からなかったのでわかり次第また追記します。

 

⑥自分がコピーする際のシステム

 僕がサカナクションのコピーをする時のシステムです。

 Zoom MS-50G

→Electro Harmonix Soul Food

→Guyatone HDm5

→Weed DS-1

→BOSS PS-5

→Truetone H2O

→BOSS DD-500

→BOSS RV-6

 MS-50Gは主にコンプ、EQとして使っています。Soul FoodとHDm5でゲイン量の使い分けをしています。Soul Foodはクランチ程度、HDm5もクセのない歪みが得られるためSoul foodと重ねることでケンタ系のテイストを保ちつつしっかりと歪んだバッキングサウンドを得ています。ジリジリとしたハイゲインサウンドが欲しいときはDS-1を踏んでいます。PS-5からDD-500まではまとめてループボックスに括り、一気にオンオフできるようにしています。個々のペダルの使い道は上述の通りです。

 モジュレーション、空間系は定番と言われるような汎用性のあるものなら比較的なんでも代用が効くと思います。ダイナミクス系は思い切って省いても僕達アマチュアのコピバン程度なら問題ないのではないでしょうか。

 

⑦おまけ

 これはコピーの参考にはなりませんが、最後に他の場面でのシステムについても少し。

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 ライブでのラップトップパフォーマンス中にも岩寺氏はギターを弾くことがありますが、その際のセットがこちらです(2012年のツアー時のものですので、現在とは異なっている可能性が高いですがあしからず)。主にロングトーンの途中でエフェクターで色をつけたり、ディレイで飛ばした音をツマミで変化させたりしているようです。

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 また、2014年頃から使用している富ヶ谷のプライベートスタジオ(全てのパートをラインで出力し、ヘッドホンをつけてプレイするセッション用の部屋)でのギターシスタムがこちらです。エフェクターはSunset、Mobius、Time Line、Big SkyとStrymonで固め、アンプはKemperを使用しているようです。

 

 以上、僕なりにまとめてみました。参考にしてくださる方がいらっしゃれば幸いです。ではまた。

《2020 10/13追記》

 なんと山口一郎氏から反応をいただいてしまいました。岩寺氏本人も目を通してくださったようで嬉しいやら恐ろしいやら…更にサカナクションの楽器テックを務めるモビーディックさんにも反応いただき、「ほぼ正解でビックリしました」とのコメントがありました。本当に機材厨冥利につきます、ありがとうございます。

 これからも気合い入れて書いていきますので、よろしくお願いいたします。

機材の話: BOSS DD-500 ~パラメータ自動制御~

 こんにちは。なかなか頻繁に書けませんね…前回のMini Glitch記事は思いのほか反応いただけてありがたかったです。

 今回も機材の話を。定番となった感もあるBOSSのフラッグシップ機、DD-500についてです。

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BOSS - DD-500 | Digital Delay

Kick.S: BOSS DD-500まとめ

 網羅的な情報については公式や楽器店さん/個人のブログをご覧いただくということで…後者はシンセを用いてStrymonのTime Lineと音質の比較をしたブログです、大変面白い記事なので是非とも。

 1年ほど前に購入して以来使っているのですが、不満なく使えております(基本的に機能面にしか関心がないのもありますが)。今回はDD-500の隠れた特長であるアサイン機能と、パラメータの自動制御について書きたいと思います。(自動制御についてのみ知りたい方はこの後の設定方法や割り当て可能なパラメータのセクションは飛ばしてしまっても構いません。)

 

 アサイン機能は他の有名多機能ディレイ(Time FactorやTime Lineなど)にもありますが、DD-500ほど豊富な機能を持つものは少ないのではないでしょうか?

 DD-500でパラメータ変化をアサインする方法は大きく分けて2つです。

 ①「CONTROL」メニューから設定する

 ②「ASSIGN」メニューから設定する

 

「CONTROL」メニューから設定する

 CONTROLメニューでは、本体のTAP/CTLスイッチ、(接続していれば)外部スイッチ及びエクスプレッションペダルにもたせる機能を選択します。それぞれのスイッチ/ペダルについてオンオフ、また設定をパッチ毎に記憶するか全パッチで共通のものにするかを選べます。例えばTAP/CTLスイッチには常にタップテンポを、エクスプレッションペダルにはパッチによってエフェクトレベルやフィードバック量を割り当てる、といった使い方ができますね。

 このメニューで割り当てることができる機能は以下の通りです。

スイッチ類

・タップテンポ

・ホールド(オンになっている間フィードバックが固定)

・ワープ(フィードバックとレベルが上昇し、大人しい発振のような効果を得られる)

・ツイスト(複数のパラメータを変化させ、形容しがたい効果を得られる)

・モーメント(押している間はエフェクト音のみ出力)

・ROLL1/2、1/4、1/8(オンになっている間ディレイタイムが半分、1/4、8/1になる)

・フェード(エフェクト音がフェードイン/アウトする)

タップ、モーメント、フェード以外のものはラッチ・アンラッチの切り替えも可能です。

エクスプレッションペダル

・タイム

・フィードバック

・エフェクト音のトーン

・エフェクトレベル

モジュレーションのデプス及びレイト

それぞれペダルを上げきった時、踏み込んだ時の値を設定可能です。

 

「ASSIGN」メニューから設定する

 こちらが今回の記事の肝に近いですね。DD-500のアサインモードでは「PACTH」メニューで設定できるほぼすべてのパラメータ+αに任意の変化を加えることができます。

(是非上にリンクを貼ったBOSS公式サイトからダウンロードできるマニュアルを参照してください)

 これはファームウェア1.0のマニュアルなので2020年4月現在の最新ファームウェア2.1で追加されているパラメータももちろん割り当てることができますし、これらに加えてエフェクトのオンオフ、TAP/CTLスイッチのLEDのオンオフ、フィードバックループのオンオフも制御することができます。なんとも恐ろしい…

 ASSIGNメニューでの設定項目について書いていきます。

 流れとしては①SRC(ソース)でアサイン先を設定し、②トリガーの挙動を設定し、③TRG(ターゲット)でアサイン先でコントロールするパラメータを選択し、④パラメータの変化の仕方を設定するといった感じです。設定画面の並びとは前後しますが、はじめはこの順番で設定していくと混乱しないと思います。

①SRC(ソース)でアサイン先を設定する

 TAP/CTLスイッチ、エクスプレッションペダル、外部スイッチ1/2、INT PDL(後述)、WAVE PDL(後述)、INPUT(インプットレベルに応じてパラメータを変化させる)、MIDIのCCから設定できます。

②トリガーの挙動を設定する

 スイッチ類はラッチ・アンラッチの切り替え、エクスプレッションペダルは操作範囲を設定できます。INT/WAVE PDLについては後述します。

③TRG(ターゲット)でアサイン先でコントロールするパラメータを選択する

 どのパラメータを変化させるかを設定します。パッチのディレイモードに関係なく全てのモードのパラメータを設定できます(モードの変更もアサインできるのに伴うものだと思われます)

④パラメータの変化の仕方を設定する

 ③で選択したパラメータのmin/maxを設定できます。最小値/最大値と言うよりは「アサイン先から発される信号が最小/最大の時の値」と言う方が近いですね。例えばTAP/CTLスイッチをアンラッチに設定してエフェクトレベルを変化させる時minを0に、maxを100にすると押している間だけエフェクト音が出る、minを100、maxを0にすれば押している間だけエフェクト音が消える、というようにハイ→ローの変化も設定可能です。

 以上がASSIGNメニューからパラメータ変化を設定する手順でした。恐ろしいことに、DD-500ではパッチ毎に8つものパラメータをアサインすることができてしまうんですよね…機材厨心がくすぐられますね…BOSSはこのなぜこの機能をもっと声高にアピールしないんでしょうか、売れすぎたら困るんでしょうか。

 

パラメータの自動制御について

 いよいよこの記事の本丸です。先ほど後回しにしたINT/WAVE PDLがここで登場します。BOSSはこの機能を「仮想エクスプレッションペダル」と呼んでいますが、その名の通りここではパラメータの連続的な変化を設定することができます。

 INT PDL(インターナルペダル)では、2つの値(minからmax)の間の一方向的な変化を設定します。TRIGGERで仮想エクスプレッションペダルが動き始めるきっかけを選択します。変化のカーブとスピードも設定可能です。トリガーのタイミングとして設定可能なのはパッチチェンジのタイミング、エクスプレッションペダルが最小値/中間値/最大値に達したタイミング、外部スイッチを押したタイミング、MIDI CCの信号です。

 WAVE PDLは要するにLFOですね。ノコギリ/三角/サイン波から波形を選択し、任意のレイトでパラメータに周期的な変化を加えることができます。

 

 このヤバさが伝わるでしょうか。この機能によってDD-500は変態グリッチペダル、そしてもはやディレイを超えたトンデモマルチと化すのです…いくつか僕が実践している使い方を紹介しますね。

グリッチエフェクト

 TAP/CTLにドライのカット、エフェクト音の出力、フィードバックの最大化をアサインすることでraptioなどに代表されるグリッチエフェクトを簡易的にですが作ることができます。様々なモードに適用する、またイコライザーの設定によってエフェクト音を作り込むこともでき、DD-500ならではのグリッチサウンドを作ることもできるでしょう。

キルスイッチとしての運用

 あらかじめエフェクト音をカットしておき、スイッチにドライのカットをアサインすることでキルスイッチとして使っています。ジョニー・グリーンウッドになりたかったので…

・動きのあるモジュレーション

 SFXモードにおいてタイムを最小にすることで普通にフェイザートレモロ、フィルター、ビットクラッシャーとして使えてしまうテクの発展型です。トレモロのレイトを動かしてレディオヘッドBonesを再現したり、オートフィルターの波形やレイトを変化させて複雑な動きをさせるなどの使い方をしています。まだまだ無限の可能性を秘めた使い方です。

・ランダムグリッチもどき

 パラメータのランダムな変化は設定できないのですが、ディレイタイムのノート、テープエコーモードの再生ヘッドの組み合わせなどを変化させることで段階的なピッチ変化が実現します。同じパラメータに複数のWAVE PDLを適用することでランダムに近く感じられるような変化を作ることができます。ピッチディレイなどで作っても面白いです。

 これらは氷山の一角であり、DD-500はまだまだ大いなる可能性を秘めています。「ディレイタイムをインプットレベルに連動させて発振の音程を手元でコントロールする」などの楽しい運用を日々編み出しているひょう'さん(@hyhyoyhyh )のツイッターアカウントは必見です。また、ツイッターにて「DD-500怪音部」で検索しても参考になると思います。DD-500を使っているみなさん、DD-500を買うつもりのみなさん、是非DD-500怪音部で僕と握手しましょう!

 

発売から5年近く経つにも関わらず、DD-500を実際に使い込んでいる人のレビュー記事があまり見当たらなかったので自分なりに書いてみました。どなたかのお役に立てれば幸いです。それではまた。

機材の話: The King Of Gear Mini Glitch ~スイッチを踏むタイミングについて~

 こんにちは。こんばんは。おはようございます。

 ちょっと書きたいネタができたので、最近買ったMini Glitchについて書こうと思います。すこしずつ手持ちのペダルやら機材の話もしていけたらなあと…

 というわけで、先日こちらのMini Glitchを購入しました。やったね!

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 The King Of Gearは、レディオヘッドの機材情報まとめサイト「The King Of Gear」が母体の、レディヘオタクのレディヘオタクによるレディヘコピーのためのブランドです。レディオヘッドをコピーした過ぎてエフェクターを開発し、ブランドまで立ち上げてしまうとはこわ…もとい見上げたオタク精神ですね…。

the King of Gear ;

 Mini Glitchは、ジョニー・グリーンウッドMax/MSPを駆使して作り出していたランダムグリッチエフェクトを軸に、様々なグリッチ効果を得ることができるペダルです。公式も例に出しているように、「Go To Sleep」のギターソロなんかが典型です。(動画の2:35過ぎ~)

www.youtube.com

 ではMini Glitchのモードやコントロールについて。

 まずは大きなノブがサンプルサイズ、サンプリングされる長さのコントロールです。サンプルサイズと言われると馴染みがないような気がしますが、ディレイタイムだと思って弄れば問題ないです。また、サンプルサイズのノブを最小に設定するとランダム設定になり、グリッチが有効になる度にランダムな長さで演奏がサンプリング/ループします。

 続いて右下のアナログドライパススイッチでは、グリッチが有効になっている時にドライ(原音)を出す(pass)か出さない(mute)かを切り替えることができます。トリッキーなソロやSWモードではドライはカットした方が映える印象ですが、ドライを出力して普通の空間系のように使うのもまた良いです。

 そして1番の肝、モードスイッチです。RND、TRSH、SWの3つのモードを切り替えることができます。RNDモードではエフェクトがかかるタイミング、そしてオフになるタイミングが完全にランダムになります。要するに、このペダルをオンにして演奏していれば勝手にエフェクトがかかってくれるというわけですね。制御は不可能ですが、それこそがこのペダルの魅力でしょう!このモードでサンプルサイズもランダム設定にしたエフェクトが、まさに「ジョニーの音」を再現している音ですね。

 TRSHモードは、設定したしきい値を超える入力があったタイミングでエフェクトがかかるモードです。その後再び設定値を超える入力があるまでそのサンプルはホールドされたままになります。強弱をつけたアルペジオで狙ったタイミングの音だけホールドさせる、などの運用が考えられますが…僕はなかなか使いこなせていません。笑 右手の強弱をうまく反映させられるスレッショルドの設定も難しいですし、僕の使っているメインの歪みは右手のダイナミクスがボリュームではなく歪みの量に出るので余計に…

 SWモードはスイッチを踏んだタイミングでエフェクトがかかるモードで、1番分かりやすいのではないでしょうか。MASFのRaptioやBANANANAのMANDARAなどと同じようなモードですね。正直とても使い勝手が良いので1番使っています。笑

 さらに、フットスイッチを押しっぱなしにした状態でノブやモードスイッチを操作することでモード毎に違ったパラメータにアクセスすることができます。RNDモードではエフェクトがかかる頻度、TRSHモードではエフェクトのかかるしきい値、SWモードではサンプルサイズをランダム設定にした際の最大サンプルサイズをノブで、またSWモードでのみフットスイッチのラッチ/モーメンタリーを切り替えることができます。

 ※これに加えて裏蓋を外した基盤にあるトリムポットでエフェクト音のレベルを調節することができるのですが、マニュアルには記載がないので自己責任でお試しください…僕は少しだけ上げて使っています。

 以上のようにぶっ飛んでいながら実に気の利いたペダルで大変満足しています…と、本題はここからです。

 今回このペダルの記事を書こうと思ったのは、スイッチモードにおけるスイッチを踏む最適なタイミングについて考えたからなんですよね。ツイッターにてフォロワーの方とグリッチペダルについてお話していたところ「raptioは反応が速くてピッキングと同時に踏んでもうまいことかかってくれる」とおっしゃっていたのでこのペダルもそのように試してみたところなかなかうまく行かず…ルーパーでフレーズを流しつつ手でスイッチを押して色々と探ってみたということがありまして。

  この動画でサンプルサイズを最大にしてスイッチを押した時、その直前に鳴っていたフレーズが「巻き戻って」サンプリングされたのがお分かりになるでしょうか?一般的なディレイペダルなどは、踏んだ瞬間にエフェクトが有効になり、その直後の入力に対してエフェクトがかかりますが、このペダルはその逆なんですね…ですから、短めのタイムでマシンガンサウンドのような効果を狙ってこのペダルを使う際には、スイッチを踏むタイミングをピッキングのタイミングから僅かに後ろにズラすのがコツなのではないでしょうか…ということが言いたかった記事です。上で挙げたような他のグリッチ系ペダルがどうなのかについては把握できていませんが…もしかしたら追記するかもしれません。

〈2020/02/14 追記〉

 ツイッターのフォロワー氏にRaptioの使い手がいらっしゃったので、お願いして動画を送って頂きました。(灰野さん、本当にありがとうございます!)

 タイムを最大にして踏んでいただきました。Mini Glitchとは違い、フットスイッチを踏んだ瞬間からサンプリングが開始されているのが分かります。

  このように短いタイム設定では、ピッキングと同時に踏んでも綺麗にかかっています。どちらの仕様が馴染むのかも含めて検討してみると良さそうです。

〈追記ここまで〉

というわけでMini Glitch、大変オススメです。ピッチシフターやリバースディレイにRNDモードを合わせるのがお気に入りですのでお試しあれ。(最後にいくつか参考の動画貼っておきます)次の記事は頑張って近いうちに出したいなあというつもりでいます。あくまでつもりです。それではまた。

 

 

 

2019年に聴いた音楽

 久しぶりの更新です。もう少し書こうと思っていたんですが、書きたいテーマが(必要な調べ物の量的に)重たいものばかりで…今のところ考えているのは

サカナクションレディオヘッド

小出祐介と青春

の2つです。そのうち上げられれば…

 

 今回は今年初めて聴いた音楽の中で特に印象に残っているものを5作ほど紹介しようと思います。今年はサブスクリプションで聴くようになったので、それとの付き合い方を探りながらの1年だったように思います。満足できる使い方に至ったのは秋くらいでしたね…来年はもっと楽しく使えそうな気がしています。

1. Reflections/Stimming

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 今年はミニマルテクノIDMと呼ばれるものを比較的よく聴いていました。もともとサカナクションが好きなので興味はあったのと、去年ハマったMount Kimbieからの流れですね。

 全体として、リズムセクションの音色に潤いを感じるのが気に入ってます。硬質な音なのに、なんか水っぽいんですよね。ローの質感と、タムのピッチの揺らし方から来てるんだと思いますが…

 ジャンル柄そりゃそうなんですが、ストイックな程平坦に?テンションの差があまりなく?アルバムが進んでいきます。音数もあまり多くないんですが、それらの質感のよさ、ループの中にある小さな差異を探すことの楽しさに満ちあふれた曲ばかりで飽きることなくいつまでも聴いていられました。マジでずっと聴いてた月がありました。こんなツイートもしました。

2. Black Sea/XTC

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 ベボベサカナクションも参照点に挙げてるし聴かなきゃ、と思ってそのまま何年か経っていたのですが、今年やっと聴きました。山口一郎が「パンク/ニューウェイヴこの1曲」にLiving Through Another Cubaを挙げていたのでこのアルバムを。

 特に前半の曲を聴いて感じたのが「ベボベのCじゃん!」ということです。順番逆ですけどね…逆、という話で行くと今年は終わりの季節レイ・ハラカミの曲だと思ってたりSports Menをkimonosの曲だと思っていたりということもありました。笑

 Cじゃん!の話に戻りますが、ミドルテンポでの4つ打ち、ギターの音色、リフのちょいダサな感じ、一筋縄ではいかないコードの使い方、等々…初めて聴くアルバムなのに、こんなに親しみをもって聴けたことはあんまりなかったです。今までベボベの4つ打ちはトライセラからの影響(もちろんそれも実際あるでしょうが)だと思っていたのですが、根っこはこっちか!!と。あとドラムのリバーブ感がめちゃくちゃ好きです。

3. Time Machine/藤原ヒロシ

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 藤原ヒロシについてはサカナクションの多分、風。にルーキーのリミックスを提供していたり山口一郎とちょくちょく番組に出ていたりしていたのでなんとなく知ってはいたのですが、オリジナル曲を聴いたことはありませんでした。山口一郎がオールナイトニッポンでこの曲をかけていて出会ったのですがブッ飛びました、ド名曲でしょ…

 リズムの組み立て、音色、ウワモノの差し込み方、奥行きのある音像、そしてこんなにダンスミュージックとして最高なのにあくまで歌モノとしてしっかりとできていること、何から何まで褒めるところしか見当たらないです…声もメロディも素晴らしい…特に気に入っているのは間奏で入ってくるこれはソフト音源で打ち込まないとこうはならないでしょ!というエレキベースです。Perfumeにもたまにありますがアレ好きなんですよね。

4. エピタフ/トリプルファイヤー

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 急に毛色が変わりますが…だって衝撃だったんだもの。笑

 バンドのボーカルに教わって聴いたんですがドップリハマってしまいました。ハマりすぎてコピバンやってしまいました。ボーカルで。歌ももちろん最高なんですけど演奏もすごい…これはなんか説明する方が野暮だから聴いてください。笑

5. 834.194/サカナクション

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 待ちに待った、待ちに待ちまくったサカナクションのアルバムが出ました。前作が出たときは中学一年生だったんですけどね…でも待った甲斐がありました。最高でした…

 フラゲ日が20歳の誕生日の1週間前で、マックでサカナクションが表紙のムジカを読みながら聴いていたんですが、中学生になって本格的に音楽好きになってからの自分を丸ごと肯定できるような感じがして、とても報われた気持ちになりました。ボロボロ泣いてしまって、ポテト食べて泣いてる人になってしまいました。この人たちを好きで本当によかったと。「少年という感覚よりも成熟した今の自分がそこに対する憧れを持ってる、それを歌にすればいいんだなっていうのがはっきりわかったんですよね」、小出祐介が光源でやった「2周目の青春」そのまんまで、もう違う道を選んだように見える自分の思春期を象徴する2人のミュージシャンがやっぱり根っこでは同じものを持ってる人なんだなと思ったし、曲調も違うそのふた組を共通する視点で好きになった自分に自信を持てた、それがすごく嬉しかったです。

 曲自体も、サカナクションと関係なく好きになった(無意識に影響されてたってことだと思いますが)シューゲイザー、エモのエッセンスが入った曲があったり(ワンダーランド)、ニューウェイヴ、AORの要素が全体に感じられたり(ニューウェイヴはデビュー以来ずっと纏っているものですが)、自分の音楽趣味は全てサカナクションに収束していくんだな、という確信を持てましたし、これからもきっとそうなんだろうなと思いました。大げさかもしれませんが、このアルバムを聴いて僕は10代を終えることが怖くなくなったような気がしたんです。冗談ではなくね。

 

 

最後めちゃくちゃポエムになってしまいましたが、こんなところです。5作見ても改めてサカナクションの影響力の大きさを感じますね…最後にこの5つに入れなかったものもいくつか箇条書きで書いておきます。

Talkie Walkie/Air

Meat Is Murder/The Smiths

ゾンビランドサガ フランシュシュ The Best/フランシュシュ

ポラリス/Base Ball Bear

Grape/Base Ball Bear

Bend/D.A.N.

Vacuum Boogie/Floating Points

Pink/Four Tet

新しい人/OGRE YOU ASSHOLE

I Know You Like It/Shinichiro Yokota

Slowdive/Slowdive

 

では来年もよろしくお願いします、僕にもみなさんにも素敵な音楽との出会いがありますように。よいお年を。

4/7 サカナクション幕張公演感想とこれからのサカナクション妄想

・いやーブチ上がりましたね。

・3年半振りのサカナクションのライブだったわけですが、その間に行ったどのライブよりもブチ上がったライブでした。

・なんでこんなにサカナクションが好きなんだろう?笑

・ダサい曲多いのに。()

・あ、マジで容赦なくネタバレしまくるのでこの先ライブ行く予定の方は全力で引き返してくださいね。

・ちなみにこの箇条書きスタイルは僕がよく読んでいるサッカー系の某ブログの影響です。

・思考をひとかたまりずつ投下すればいいので楽なんですよね。笑

・あとこの形式なぜか読んでてもスッと入ってくるんですよね…LINE、Twitterの短文コミュニケーション全盛の時代ならではの書き方かもです。


・まずはセトリの順を追って振り返ろうかなと。

【セトリ】

OP.セプテンバー(ショート)

1.アルクアラウンド

2.夜の踊り子

3.陽炎

4.新曲(マイノリティ?)

5.Aoi

6.さよならはエモーション

7.ユリイカ

8.years

9.ナイロンの糸

10.蓮の花

11.忘れられないの

12.新曲

13.新曲(ピーナッツ?)

14.INORI

15.moon

16.ミュージック

17.新宝島

18.アイデンティティ

19.多分、風。

20.セプテンバー

(以下アンコール)

21.『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

22.白波トップウォーター

23.グッドバイ

・①新曲の導入だけ弾き語るオープ二ングからアルクアラウンド→夜の踊り子→…→5曲目のAoiまではとにかく盛り上げる選曲。

・夜の踊り子をこんなに早めに持ってきたのは意外でした。(終盤での「みんなまだまだ踊れる?」を待っていたので)

・4曲目の新曲、ゲラゲラ笑っちゃうくらいダサかった。()

・これ慣れたらかっこよく感じるのかな…?本人たちも絶対笑いながら作ってたでしょこれ。笑

・オケヒのイントロリフからギターから歌詞からすさまじい威力でした、音源が楽しみですね(すっとぼけ)

・②さよエモ→ユリイカ→years→ナイロンの糸のしっとりパート。

・コレコレ!ってなってました。笑

・基本暗い曲が好きなのでね。

ユリイカの時、スクリーンの薄い布を前後に2枚置いてそれぞれに別の映像映して立体感出してたのすげえなあと思って見てました。

・奥のスクリーンで電車乗ってる人の画、その手前の布にその人の頭の中で思い出されてる風景を映すとか。

・ライブのyearsはやっぱりいいですね、美しい。

・yearsの後半のブレイクのとこはかなりサラウンドでやる意味を感じました。

・③蓮の花→新曲2つまでの流れ。

・ナイロンの糸も半分そうなんですが、ハッキリと踊らせるパートでした。

・バンドっぽい演奏でね。

・忘れられないの、CMで流れてる部分はサビじゃないんですね。

・4曲目のやつ以外の新曲は共通して緊張と解放が繰り返されるような構成でした。

・②③みたいなのばっかりやってればいいのに。()

・④INORI~ミュージックまで。

・一旦ラップトップになってミュージックでラストの盛り上げゾーンへ繋ぐといういつものやつです。

・でもこの流れ今までは大体アンコールの頭でやってましたよね。

・本編だと打ち込み曲たくさんでハッピーです。笑

・まさかsakanactionツアー以外でINORIを聴けるとは。

・SORATOではなくmoonと表記したのは、アンセミックなあのメロディに今回歌詞がついてなかったからです。

・SORATOのメロって今まで色んな曲のライブアレンジとかリミックスに組み込まれたサカナクションのシンボル的なメロでして。

・SORATOで歌詞がついた時ちょっと残念だったんですよね。(その歌詞がそんなによくなかったっていうのもありますが)

・だから歌詞ない方で嬉しかった、いい曲ですね。笑

・ミュージックの時に4分の頭で手叩いてる人が周りに割といて結構引きました。()

・⑤本編ラストの盛り上げどころ、最後は新曲で締め。

・セプテンバー以外は特に言うことないですかね。

アイデンティティ→ルーキーの黄金パターンが崩れてルーキーのとこに多分、風。が入ったくらいか、普通にルーキーでいいと思うんですけどねえ。

・セプテンバーは3拍子でグッドバイみたいな?感じ。

・multiple exposureの方が近いかも。

・multiple exposure~決意表明編~ みたいな。笑

・新曲に共通して感じましたが、歌詞の言葉選びがストレートに?シンプルに?なってるかもです。

・難しい言葉が減った印象。

・⑥アンコールはアンコールです。

・白波トップウォーターってホントいい曲。笑

・MCでは色んなお話がありましたね。

・アルバム延期に関しては山口さんかなり反省していらっしゃいました。

・マジで凹んでいると。笑

・ちなみにやっぱり歌詞が書けなかったそうです。

・MC終わって最後にグッドバイ。

・そういえばグッドバイラジオで初OAの時一郎泣いてましたね。

・元気になってよかった。()

・全体としてかなり押さえるところを押さえてある、気の利いたセトリでしたね。

・初期曲が全然なかったのは寂しいですけど、最近までベスト盤のツアーやってたんだもんね。笑


・次に全体的なパフォーマンスについて。(音響などについても)

・まず今回はサラウンドの話をしないわけにはいくまい。笑

・6.1chサラウンド(LRそれぞれの前方、後方、中間にプラスウーファー)でのライブということで。

・スピーカーの数は全部で300本超えとのことで。

・通常幕張みたいな規模でやるフェスはステージ側のスピーカーからしか演奏は出てないから、後方の客に音が届くのはかなり遅くなってしまうのですが。(一郎曰く「手を振るのが綺麗にズレる」)

・今回はアリーナ全体をざっくり前後で2つに分けたようなスピーカーの配置でした。

・サラウンドを前方、後方に2つ用意することで後方へのラグを解消するという。

・それでもちゃんとサラウンドになってましたからね。

・全方向から一斉にコーラスが来る感じとか、ディレイのウェットがぐるぐる回る感じとか。

・オオーってなりましたよ。とても。

・「技術を使うこと」に「音楽的であること」がちゃんと先立っていたかというのには疑問を覚えましたが。笑

・途中でステージ背のスクリーンにステレオイメージャーが表示されて音の移動を視覚的にも捉えられるようにしたり、ライト層が音響に興味を持つような階段はちゃんと作れていたかなと思います。

・照明も相変わらず凄かったです。

・あんなの制御してる人は気が狂っちゃうんじゃないの?()

・先にも述べた二重スクリーンとかもよかったですし。

・本人たちについては、客を煽ったり手拍子求めたりが今までより明らかに増えたのが印象的でした。

・最近はラジオ全然聴いてないけどたまに聴くと結構はっちゃけたしゃべり方になってるし。

・NFパンチも影響あるかな?あれ終わっちゃったの寂しいですねえ。

・利きシェイカー選手権とか面白かったんですが。

・話がそれた。笑

・一郎に限らずメンバー全体のステージングは変わってました。新宝島の時モッチがステップ踏んでたり。

・ギターソロ弾いてるモッチに一郎が近寄っていってちょっかい出すとか。

・蓮の花までの彼らなら絶対やりませんからね。

・もちろんお客の方向くのはそれはそれでいいんですが。

・でも今まで行ったサカナのライブに比べて周りの客へのストレスが大きかったんですよね…何でもかんでも4カウントで手叩いちゃう人とかユリイカで縦に跳んでる人とか。

アルクアラウンドのBメロの手拍子ができないとか。笑

・この辺は面倒な古参の面倒なイチャモンと思ってもらえればいいんですが。

・僕と花から買ってるくらいなので古参ってほど古参じゃないですけどね。()

・リリースのない中でファンを繋ぎ止める、新規ファンを増やすためにはライブにエンタメ性を持たせるのがよかったんだろうのいうのは分かりますし。

・アリーナという場所柄「太い」ファンばかり集まるわけではないですし。

・まあ4つ打ちフェスロック時代も終わりつつありますし、縦ノリも思考停止じゃない「自分だけのダンス」ってことに?

・ただ山口一郎にはもっと啓蒙主義的でいてほしいというか。笑

・とりあえずステージングの話はお終いに。


・あと今回はキックの音がかなりロックでしたね。(この辺からこれからのサカナクション考察になっていきます)

・オフィシャルバンドスコアを出した2012年頃は「音源でドラムマシンを使ってる曲はそれ用のペダルを足元に用意して生のキックと曲によって、あるいは曲中にも使い分けている」というようなことを言っていたし以前に行ったライブでも聴いてそう感じていたんですけど、今回は今までなら絶対に打ち込みっぽいキックを使っていただろう曲(ユリイカとか)でもガンガン生キックだったんですよね。

・今まではなるべく軽く、アタックとそれなりのボトム感さえあればいいっていうテイストだったと思うんですけど。

・というか、なんならラップトップで演奏するINORIとかミュージックでさえもキックがかなり生っぽくなってた気がするんですよね…

・改めて「サカナクションはバンドである」ということを知らしめるためなのかなーと思ったり?

・新曲たちも案外ポップというかロックというか歌謡チックというか…(?)

・今度のアルバムはサウンド的には今までで1番ポジティブなアルバムになるのでは?というような気も。

・コール&レスポンスもどき?(多分風の「なーぜかー」みたいな)も多かったし、もう一度セールスで1番になる気なのかしら?

・と思ったらアンコールのMCで「もう人の評価よりも自分たちの中のハードルを越え続けること、自分たちの好きを追い続けることをしたい」みたいなこと言ってみたり。

・一郎よ、さては貴様今単純に幸せだな?()

・脱線してしまった。笑

・キックの話、新曲たちの話から言いたかったのはここに来て改めて「"楽曲単位での"ロックとクラブミュージックの融合」に立ち返ったのかな?ということで。

・「ファースト、セカンドの制作ではイメージしたサウンドにたどり着けないもどかしさがあった」、「東京に出てきてRecエンジニアの浦本さんに出会ってから(シンシロ以降)世界が変わった」という発言がありまして。

・①確かに北海道時代の岡崎さんの演奏は「ピアノ習ってた人がシンセに手を出しました!」感が結構あるんですよね。(僕はそれめちゃくちゃ好きですけど)

・②シンシロ~sakanaction(もっと言えば蓮の花辺りまで?)にかけてキーボードからシンセサイザーへ、そしてさらにシーケンス然としたフレーズや音作りへと変化していきまして。

・③そして新宝島~陽炎(現段階での最新曲)ではサウンドがクラブミュージックなのにフレージングはポップス文脈だったりその逆だったりが見受けられるようになってきて。 

・(②の時期でもDocumentaLyまでとsakanactionで変化の幅がかなりある気がしてます。)

・今まで③の曲たちを聴いて(それらの曲がタイアップのついたシングルだったこともあり)そういうのは一時的なものであろうと思っていたのですが。

・今回の新曲たちをライブで聴いてこれは気まぐれじゃなくこのアルバム全体の(もしかしたらサカナクション自体の新しい?)カラーなのかもしれないと認識を改めた次第で。

・(逆に溜まりに溜まったシングル群をアルバムに収録しなきゃいけない都合でそうせざるを得なかったという考えもありますがまあそれはアルバム聴くまで置いといて。笑)

・デビューしてから10年経ってやっとクラブミュージック的なアプローチを血肉にした上で自分たちのポップス、ロックを表現できるようになったのかなーと。

・クラブミュージック取り込み期間長すぎですけどね。笑

・続いて「"楽曲単位での"」とつけた理由の話に行きますと。

・前作のsakanactionで山口氏は「表裏一体」をテーマに掲げていたんですが。

・それは「表の(ポップな)」曲と「裏の(アンダーグラウンドな)」曲を1枚のアルバムに散りばめることで総体として「表裏一体」を表現するというやり方で。

・この表と裏ってサカナクションが言うロックとクラブミュージックにも置き換えられると思っていて。

・(それ以前の曲はとりあえず置いておいて)陽炎と新アルバム曲たちを聴いた感じ「表と裏」が一曲の中にちゃんと現れているなと思ったというか。

・そしてそれを「834.194」というタイトルで北海道時代と東京進出後の自分たちについてのアルバムに(しかも2枚組で)仕上げるという。

・仮に2枚組が「北海道編」「東京編」みたいになってたらすごいですよ、一曲の中で、更には作品全体で二重に表裏一体を描くということに…

・考えすぎかしら。笑


・ちょっと脱線しますが、sakanactionとほぼ同時期にベボベも表裏一体をテーマに制作していたけど先にsakanactionがリリースされたことでそのアイデアが死産になってしまった、というエピソードがありまして。

・その後小出氏はハイな時も沈んでる時もどっちでもない時も全部俺だし、みたいなところから「普通ってなんだ?」を突き詰めた二十九歳というアルバムを作るんですが。

・それもある種表裏一体というか、なんならsakanactionよりも高次の表裏一体を表現できてるんじゃないかというか、そんな気がしていて。

・(その辺りから小出氏が一郎と距離を置き始めるという悲しい話もありますが。笑)

・(間違ってまたサカナとベボベの対バンやんねえかなあ!!!)

・めちゃくちゃいいアルバムなのでオススメです。個人的にベボベの最高傑作です。


・アルバムの展望をまとめましょう。笑

・前作から6年空きましたしその間色んな曲が出ましたが。

・基本的には前作の延長線上に捉えられる作品になるだろうなと。

・そもそもkikUUikiとかもそうですが、「真逆のもの、本来混ざらないものが混ざり合った時の良い違和感」はサカナクション永遠のテーマですし。

・しっかりと「サカナクションのアルバム」が聴けるのではないでしょうか。

・この前でたAERAのインタビューで「これがサカナクションのラストアルバムになるかもしれないと思ってる」とか不穏なことも言ってましたし、それくらい気合い入れて作ってるはずですからね。(ラストアルバム発言は「そもそもシングル→アルバム→ツアーのサイクルで活動するのやめたい」みたいな文脈でのアレなので解散するわけではないと思います。笑)

・とにかく楽しみ!

・アルバム出たらまたレビュー的なことしようかな。

・長くなりましたがお付き合いありがとうございました。笑

・ではでは。